「社労士試験 健康保険法 保険料を滞納した時の真実」過去問・健保-61

今回の記事は、保険料を滞納したときに行われることについて出題された過去問を見てみたいと思います。

保険料を滞納すると、督促が行われて延滞金が発生、それでも払わないと滞納処分(財産の差し押さえ)が行われることになります。

保険料をいかに確実に徴収するか、という面も見られると思いますので一つ一つ確認していきましょう。

最初の問題は、延滞金が発生するタイミングについて問われています。

延滞金がかかるのはどの日からどこまでの日なのか見ていきましょう。

 

延滞金がかかるタイミングとは

(平成28年問5B)

適用事業所の事業主が納期限が5月31日である保険料を滞納し、指定期限を6月20日とする督促を受けたが、実際に保険料を完納したのが7月31日である場合は、原則として6月1日から7月30日までの日数によって計算された延滞金が徴収されることになる。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

延滞金は、

納期限の翌日から「徴収金完納または財産差押えの日の前日までの期間の日数

に応じて徴収されることになります。

問題文の場合、納期限が5月31日で、完納したのが7月31日ですので、

納期限の5月31日の翌日である6月1日から、完納した7月31日の前日である7月30日までの日数で延滞金が計算されるわけですね。

ですが、もし事業主が督促を受けたのに払わなかった場合は、滞納処分(財産の差し押さえ)ということになるのですが、

このような場合は、他の税金も滞納している可能性があります。

そうなったときに優先順位が決まっているのかどうか次の問題で確認しましょう。

 

保険料の先取特権の順位は?

(令和元年問6B)

保険料の先取特権の順位は、国税及び地方税に優先する。また、保険料は、健康保険法に別段の規定があるものを除き、国税徴収の例により徴収する。

 

解説

解答:誤り

保険料の先取特権の順位は、国税及び地方税に優先するのではなく、国税及び地方税に「次ぐ」ものとされています。

先取特権というのは、「先取」という言葉が示しているとおり、他よりも優先的に財産を差し押さえてお金を回収することができる権利のことです。

で、国税というのは所得税や法人税などのことで、地方税には住民税や事業税などがあります。

保険料はそれらに次いでお金を回収する権利があるということですね。

さて、滞納している保険料の回収(滞納処分)は全国健康保険協会もできたりするのですが、厚生労働大臣とやりとりをする必要があるようです。

それはどのような段取りなのか、次の問題を見てみましょう。

 

全国健康保険協会が滞納処分をするときは、、、

(平成23年問10E)

全国健康保険協会が、保険料の滞納処分について、国税滞納処分の例により処分を行う場合には、処分後に厚生労働大臣にその旨を報告しなければならない。

 

解説

解答:誤り

保険料の滞納処分全国健康保険協会が国税滞納処分の例により行うときは、処分後に厚生労働大臣に報告をするのではなく、

厚生労働大臣の認可」を受ける必要があります。

つまり、全国健康保険協会は、自分だけの判断で滞納処分をしてはダメよ、ということです。

ただ、気になるのは、事業主が事業を行なっていて、滞納処分ができるときはいいですが、

もし事業が廃止されてしまった場合、保険料の徴収はどうするのでしょうか。

ポイントは、納期限まで保険料の徴収を待つのか、ということです、、、

 

事業所が廃止されたとき、保険料の徴収は?

(平成23年問10B)

被保険者の使用されている事業所が廃止されたとき、納期前であっても保険料はすべて徴収することができる。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

事業所が廃止されたときは、納期限が来る前でも保険料を徴収することができます。

通常、毎月の保険料は翌月末日が納期限ですが、事業所が廃止されるのに、納期限を待っていると保険料を徴収できなくなってしまうかもしれません。

なので、保険料の繰上徴収が認められているんですね。

保険料の繰上徴収ができるケースとして、

  • 国税、地方税その他の公課の滞納によって滞納処分を受けるとき
  • 強制執行を受けるとき
  • 破産手続開始の決定を受けたとき
  • 企業担保権の実行手続の開始があったとき
  • 競売の開始があったとき
  • 法人である納付義務者が解散をした場合
  • 被保険者の使用される事業所が廃止された場合

となっています。

では最後に、事業の廃止ではなく、事業の譲渡の場合は繰上徴収できるのでしょうか。

下の問題で確認しましょう。

 

事業が譲渡されたときは?

(平成30年問6B)

工場の事業譲渡によって、被保険者を使用している事業主が変更した場合、保険料の繰上徴収が認められる事由に該当することはない。

 

解説

解答:誤り

事業の譲渡によって事業主が変更した場合でも保険料の繰上徴収が認められることがあります。

事業が譲渡される前に発生した保険料は譲渡前の事業主が納付する義務があります。

しかし、事業を譲渡するということは、お金に困っているケースもあり、譲渡した後では支払能力がないことも考えられるわけです。

なので、事業の譲渡とはいっても、事実上、廃止であると判断できる場合は、事業の譲渡であっても保険料の繰上徴収が行われることがあります。

こちらは通達がありますので、リンクを貼っておきますね。

 

参考記事:保険料繰上徴収ニ関スル件 昭和五年一一月五日 保理第五一三号

 

今回のポイント

  • 延滞金は、「納期限の翌日から「徴収金完納または財産差押えの日の前日までの期間の日数に応じて徴収されることになります。
  • 保険料の先取特権の順位は、国税及び地方税に「次ぐものとされています。
  • 保険料の滞納処分全国健康保険協会が国税滞納処分の例により行うときは、「厚生労働大臣の認可」を受ける必要があります。
  • 保険料の繰上徴収ができるケースとして、
    • 国税、地方税その他の公課の滞納によって滞納処分を受けるとき
    • 強制執行を受けるとき
    • 破産手続開始の決定を受けたとき
    • 企業担保権の実行手続の開始があったとき
    • 競売の開始があったとき
    • 法人である納付義務者が解散をした場合
    • 被保険者の使用される事業所が廃止された場合

    となっています。

  • 事業の譲渡によって事業主が変更した場合でも保険料の繰上徴収が認められることがあります。

 

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