65歳になるまで、求職の申込をした場合は、基本手当を受け取ったかどうかは関係なく、老齢厚生年金が支給停止になります。
まあ、納得いくかどうかは別として、このような制度があるということと、社労士試験でも出題されていますので、押さえておく必要がありますね。
では、どのような仕組みになっているのか見ていくことにしましょう。
どれが調整の対象になるの?
(令和元年問9C)
老齢厚生年金と雇用保険法に基づく給付の調整は、特別支給の老齢厚生年金又は繰上げ支給の老齢厚生年金と基本手当又は高年齢求職者給付金との間で行われ、高年齢雇用継続給付との調整は行われない。
解説
解答:誤
「高年齢求職者給付金」ではなく、「高年齢雇用継続給付」との間で調整が行われます。
高年齢求職者給付金は一時金だから調整の対象になっていないんでしょうかね。
いつからいつまで支給停止になるの?
(平成27年問3ア)
特別支給の老齢厚生年金の受給権者が雇用保険の求職の申込みをしたときは、当該求職の申込みがあった月から当該受給資格に係る所定給付日数に相当する日数分の基本手当を受け終わった月(雇用保険法第28条第1項に規定する延長給付を受ける者にあっては、当該延長給付が終わった月。)又は当該受給資格に係る受給期間が経過した月までの各月において、当該老齢厚生年金の支給を停止する。
解説
解答:誤
「求職の申込みがあった月から」ではなく、「求職の申込みがあった月の翌月から」特別支給の老齢厚生年金が支給停止されます。
ちなみに、基本手当を受けた日が1日でもある月は、年金が支給停止になります。
ということは、必要以上に年金が停められてしまって、損をする可能性もあるわけです。
たとえば、1ヶ月の中で1日分だけの基本手当を受給しただけでも、1ヶ月分まるまる老齢厚生年金が支給停止になるわけですからね。
そんな時のために、老齢厚生年金と基本手当の間で、「事後精算」の仕組みがありますので、確認しましょう。
事後精算の仕組みとは?
雇用保険の基本手当との調整により老齢厚生年金の支給が停止された者について、当該老齢厚生年金に係る調整対象期間が終了するに至った場合、調整対象期間の各月のうち年金停止月の数から基本手当の支給を受けた日とみなされる日の数を30で除して得た数(1未満の端数が生じたときは、これを1に切り上げるものとする。)を控除して得た数が1以上であるときは、年金停止月のうち、当該控除して得た数に相当する月数分の直近の各月については、雇用保険の基本手当との調整による老齢厚生年金の支給停止が行われなかったものとみなす。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
つまり、「老齢厚生年金が支給停止になった月」ー「基本手当を受けた日➗30」が1以上あればその月分の老齢厚生年金を返してもらえるということですね。
ちなみに、日本年金機構にわかりやすい資料がありますので、ご参考にしていただければと思います。
今回のポイント
- 老齢厚生年金と雇用保険法に基づく給付の調整は、特別支給の老齢厚生年金(又は繰上げ支給の老齢厚生年金)と、基本手当又は高年齢雇用継続給付との間で調整が行われます。
- 特別支給の老齢厚生年金の受給権者が雇用保険の求職の申込みをしたときは、当該求職の申込みがあった月の翌月から基本手当を受け終わった月または受給期間が経過した月までの各月において、当該老齢厚生年金の支給を停止する。
- 「老齢厚生年金が支給停止になった月」ー「基本手当を受けた日➗30」が1以上あればその月分の老齢厚生年金を返してもらえます。
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