過去問

「雇用保険法 ちょっと苦手な高年齢雇用継続給付の勉強方法とは」過去問・雇-46

高年齢雇用継続給付には、高年齢雇用継続基本給付金高年齢再就職給付金がありますが、どちらも支給要件がややこしいイメージがありますね。

賃金の減額率を計算するときの賃金の考え方とか、就職促進給付との併給はできないとか色々と論点が出てきます。

一度に攻略するのが難しい場合は、まずは高年齢雇用継続基本給付金か、高年齢再就職給付金のどちらか一つに絞って勉強した方がいいかもしれません。

一方をマスターできれば、もう一方についても要件が似ているので取っつきやすいと思います。

それでは最初の問題を見てみましょう。

賃金の減額率を計算するときの賃金の考え方です。

用語の言い回しにも注意してみましょう。

 

みなし賃金日額??

(令和元年問6C)

受給資格者が冠婚葬祭等の私事により欠勤したことで賃金の減額が行われた場合のみなし賃金日額は、実際に支払われた賃金の額により算定された額となる。

 

解説

解答:誤

問題文の場合、「みなし賃金日額」ではなく、「みなし賃金額」のことを指しています。

また、この「みなし賃金額」は、冠婚葬祭等の私事により欠勤したことで減額された賃金も実際に支払われた賃金に加算されます。

高年齢雇用継続基本給付金は、「60歳時の賃金」よりも支給された賃金が一定の割合より低い場合に支給対象になるものですが、

その減額率を計算するときに、支給された賃金が、冠婚葬祭などの私事で欠勤して賃金が減額された場合でも、

「実際に支払われた賃金額」に「減額された賃金額」が加算された状態で減額率を計算することになるのです。

この、「実際に支払われた賃金額+減額された賃金額」が「みなし賃金額というわけです。

で、この減額率が75%未満であればオーケーということですね。

(他に、算定基礎期間に相当する期間が5年以上必要という要件もありますが)

ちなみに先ほど、「60歳時の賃金」と書きましたが、正確には、被保険者が60歳に達した日を受給資格にかかる離職の日とみなして算定された「賃金日額×30」に相当する額のことを言うのですが、この賃金日額を「みなし賃金日額」と呼んでいるのです。

実際に離職したわけではないので「みなし」という言葉が使われているのですね。

では、高年齢雇用継続基本給付金の申請をするために必要がことがありますので、次の過去問で確認しましょう。

 

高年齢雇用継続給付金の申請をするには

(平成25年問5B)

高年齢雇用継続給付受給資格確認票・(初回)高年齢雇用継続給付支給申請書に記載された事項については、事業主の証明を受けなければならない。

 

解説

解答:正

問題文のとおりで、「高年齢雇用継続給付受給資格確認票・(初回)高年齢雇用継続給付支給申請書」に記載された事項については、事業主の証明が必要です。

まあ、高年齢雇用継続基本給付金を申請する人は、事業主に雇用されて賃金を支払われている状態ですから、ちゃんと雇用されているという証明を事業主にしてもらう必要はあるでしょうね。

さて、次は「高年齢再就職給付金」を見てみましょう。

高年齢再就職給付金は、失業していた人が60歳以後に就職したときに、「賃金日額×30」の額よりも支払われた賃金が75%未満だったときに支給されるものです。

つまり、この人は「再就職」したわけですね。

それを踏まえて次の過去問を見てみましょう。

 

高年齢再就職給付金と就業促進手当の関係

(令和元年問6D)

高年齢再就職給付金の支給を受けることができる者が、同一の就職につき雇用保険法第56条の3第1項第1号ロに定める就業促進手当の支給を受けることができる場合において、その者が就業促進手当の支給を受けたときは高年齢再就職給付金を支給しない。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

問題文にある、「雇用保険法第56条の3第1項第1号ロに定める就業促進手当」というのは、再就職手当のことですが、

もし、高年齢再就職給付金と再就職手当を両方受けられる場合は、どっちかを選ぶということになり、両方もらうことはできないのですね。

なので、再就職手当が支給されたときは、高年齢再就職給付金の支給はない、ということになります。

で、高年齢再就職給付金の方を受けることにした場合、高年齢再就職給付金の支給要件を確認しましょう。

次の問題では、高年齢再就職給付金の「支給対象月」が論点になっています。

 

高年齢再就職給付金を受けるには?

(令和元年問6E)

再就職の日が月の途中である場合、その月の高年齢再就職給付金は支給しない。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

支給対象月は、月の初日から末日まで被保険者である必要があるのです。

なので、月の途中から就職したり、月の途中で退職した場合は、その月については支給対象月になりません。

これは高年齢再就職給付金だけでなく、高年齢雇用継続基本給付金についても同じです。

では最後に、高年齢再就職給付金の申請方法を確認しておきましょう。

 

高年齢再就職給付金の申請方法

(平成27年問5B)

初めて高年齢再就職給付金の支給を受けようとするときは、やむを得ない理由がある場合を除いて、再就職後の支給対象月の初日から起算して4か月以内に事業所の所在地を管轄する公共職業安定所長に高年齢雇用継続給付受給資格確認票・(初回)高年齢雇用継続給付支給申請書を提出しなければならない。

 

解説

解答:誤

「やむを得ない理由がある場合を除いて」のところが誤りです。

高年齢再就職給付金の申請は、再就職後の支給対象月の初日から起算して4か月以内に「事業主を経由して」行う必要があります。

「やむを得ない理由」がキーワードになるのは、

やむを得ない理由のため事業主を経由して当該申請書の提出を行うことが困難な時は、事業主を経由しないで申請書を提出することができる、という点です。

 

今回のポイント

  • 賃金の減額率を計算する場合、「実際に支払われた賃金額+減額された賃金額」(みなし賃金額)で減額率を計算することになります。
  • 「高年齢雇用継続給付受給資格確認票・(初回)高年齢雇用継続給付支給申請書」に記載された事項については、事業主の証明が必要です。
  • 再就職手当が支給されたときは、高年齢再就職給付金の支給はありません。
  • 支給対象月は、月の初日から末日まで被保険者である必要があります。
  • 高年齢再就職給付金の申請は、再就職後の支給対象月の初日から起算して4か月以内に「事業主を経由して」行う必要があります。

 

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