労働安全衛生法で、労働者の就業に当たっての措置ということで、安全衛生教育の実施が定められています。
ただ、派遣労働者については、教育の種類によって、派遣先、派遣元のどちらに実施義務があるのか違いがあります。
それでは、過去問でそれを確認してみましょう。
派遣社員の雇入れ時の安全衛生教育は誰がするの?
(平成30年問8C)
派遣労働者に対する労働安全衛生法第59条第1項の規定に基づく雇入れ時の安全衛生教育は、派遣先事業者に実施義務が課せられており、派遣労働者を就業させるに際して実施すべきものとされている。
解説
解答:誤
雇い入れ時の安全衛生教育の実施義務は、派遣元の事業者に課せられています。
考え方としては、雇い入れ時のタイミングでは、どこの企業に派遣するのか分からない場合もあるでしょうから、安全衛生教育は派遣元がした方が手取り早い、ということでしょう。
ちなみに、作業内容の変更時は派遣元、派遣先の両方に実施義務があります。
では、特別教育の場合はどうなるのでしょう?
派遣社員の特別教育はどこに実施義務があるのか?
(平成27年9C)
派遣就業のために派遣され就業している労働者に対する労働安全衛生法第59条第3項の規定に基づくいわゆる危険・有害業務に関する特別の教育の実施義務については、当該労働者を派遣している派遣元の事業者及び当該労働者を受け入れている派遣先の事業者の双方に課せられている。
解説
解答:誤
特別教育の実施義務は派遣先の事業者だけに課せられている。
こちらの考え方は、いわゆる「特別」の教育ということなので、「特別の内容」は「現場によって内容が違う」と考えるのが自然です。
ですから、現場に合わせた教育をしようと思えば、派遣先が行うのがベストでしょう。
周辺知識としては、「事業者は、特別教育の科目の全部又は一部について十分な知識及び技能を有していると認められる労働者については、その科目についての特別教育を省略することができます。」
何回も同じ教育をするムダは省いていいということですね。
今回のポイント
雇い入れ時の安全衛生教育の実施義務は、派遣元の事業者に課せられています。
作業内容の変更時は派遣元、派遣先の両方に実施義務があります。
特別教育の実施義務は派遣先の事業者に課せられている。
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