このブログでは、毎日科目を変えてお送りしています。
なぜかというと、早いうちに全科目に触れておくことで、社労士試験の全容がイメージしやすくなり、勉強のペースが掴みやすくなるからです。
なので、あまり構えずに「ふ〜ん、そうなんだ」くらいの気軽な気持ちで読んでみてくださいね。
今日は、雇用保険法から「基本手当の日額」について見てみたいと思います。
基本手当の日額は、基本手当の支給額となるものですが、その金額が決定されるまでには、さまざまな試練(?)があります。
どのように基本手当の日額が決まっていくのか見ていきましょう。
賃金日額で算入される賃金の期間は?
(令和元年問2イ)
基本手当の日額の算定に用いる賃金日額の計算に当たり算入される賃金は、原則として、算定対象期間において被保険者期間として計算された最後の3か月間に支払われたものに限られる。
解説
解答:誤り
賃金日額を計算するときに算入される賃金は、算定対象期間において被保険者期間として計算された最後の「6か月間」に支払われたものが対象となります。
この6か月間に支払われた賃金の合計額を180で割った額が賃金日額となるわけです。
で、ここで算入される賃金についてですが、賃金に含まれるのはどの範囲なのか、といったことも社労士試験では問われます。
たとえば残業代ですが、下の問題の場合はどうなるのでしょうか。
定額残業代はすべて賃金に?
(平成26年問3ア)
月あたり一定の時間外労働があったものとみなして支給される定額残業手当が、実際に行われた時間外労働に基づいて算出された額を上回るとき、その差額は賃金に含まれない。
解説
解答:誤り
定額残業代は、一定の時間外労働があったものとみなして支給される手当で、たとえば20時間分の残業代として一定額を支給するものです。
で、ある月の時間外労働が10時間だったとしても、定額残業代はそのまま支払われます。
(時間外労働が20時間を超えた場合は、もちろんその差額の割増賃金は支払われます)
この定額残業代は、就業規則や雇用契約書などで定められているはずなので、定額残業代そのものが賃金となりますから、
現実に発生した時間外労働分だけが賃金になるわけではありません。
さて、賃金日額の方に話を戻しましょう。
賃金日額を計算しても、そのまま基本手当の日額になるわけではありません。
年齢層ごとに最高限度額と最低限度額がそれぞれ設定されています。
この最高限度額と最低限度額がどのように定められているのかを見てみましょう。
最高限度額と最低限度額はどのように決められているのか
(平成26年問3イ)
賃金日額の最高限度額は45歳以上60歳未満が最も高いが、最低限度額は年齢に関わりなく一律である。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
賃金日額の最高限度額は、「45歳以上60歳未満」の年齢層が一番高い金額に設定されています。
ちなみに、一番低い年齢層は30歳未満となっています。
最低限度額は、年齢に関係なく一定額となっています。
で、この最高限度額と最低限度額の間で賃金日額が決まっても、基本手当の日額が決定されるためにはもう一段階クリアする必要があります。
基本手当の日額を算定するのに、賃金日額の額に応じて一定の率を掛けることになっています。
この割合の範囲がどのように定められているのかを最後に確認しましょう。
賃金日額に掛ける率の範囲はどうなっている?
(令和元年問2ウ)
受給資格に係る離職の日において60歳以上65歳未満である受給資格者に対する基本手当の日額は、賃金日額に100分の80から100分の45までの範囲の率を乗じて得た金額である。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
「60歳以上65歳未満」である受給資格者に対する基本手当の日額は、賃金日額に100分の80から100分の45の範囲の率を掛けることになっています。
ちなみに、60歳未満の場合は、100分の80から100分の50となっています。
今回のポイント
- 賃金日額を計算するときに算入される賃金は、算定対象期間において被保険者期間として計算された最後の「6か月間」に支払われたものが対象となります。
- 1か月あたり一定の時間外労働があったものとみなして支給される定額残業手当が、実際に行われた時間外労働に基づいて算出された額を上回る場合でもその差額は賃金に含まれます。
- 賃金日額の最高限度額は、「45歳以上60歳未満」の年齢層が一番高い金額に設定されています。
- 「60歳以上65歳未満」である受給資格者に対する基本手当の日額は、賃金日額に100分の80から100分の45の範囲の率を掛けることになっています。
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