このブログでは、毎日科目を変えてお送りしています。
なぜかというと、早いうちに全科目に触れておくことで、社労士試験の全容がイメージしやすくなり、勉強のペースが掴みやすくなるからです。
なので、あまり構えずに「ふ〜ん、そうなんだ」くらいの気軽な気持ちで読んでみてくださいね。
今回は、労働基準法から「労働契約の終了」について見ていきたいと思います。
労働契約の終了というと、退職や解雇、有期雇用期間の終了など様々な形がありますが、
社労士試験では解雇がテーマになることが多いですね。
それでは最初の過去問を見てみることにしましょう。
この問題では、「解雇制限」について問われていますので、どのような内容になっているのか確認していきますね。
解雇制限とはどういう制度か
(平成27年問3E)
使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後の30日間は、労働基準法第81条の規定によって打切補償を支払う場合、又は天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となりその事由について行政官庁の認定を受けた場合を除き、労働者を解雇してはならない。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
通常、使用者が労働者を解雇する場合は、少なくとも30日前に労働者に予告をすることになっていますが、
- 労働者が業務上負傷し、または疾病にかかり療養のために休業する期間およびその後30日間
- 産前産後の女性が第65条の規定によって休業する期間及びその後30日間
については解雇をすることができません。
ただ、これには例外があり、「1」については打切補償を支払ったり、
「1」「2」共通の事項としては、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能になってその事由について行政官庁の認定を受けた場合はその限りではありません。
さて、労働契約の終了といえば「定年」もそうですね。
この定年は解雇にあたるのかどうかについて出題されている過去問がありますので読んでみましょう。
定年は解雇ではない?
(平成26年問2A)
就業規則に定めた定年制が労働者の定年に達した日の翌日をもってその雇用契約は自動的に終了する旨を定めたことが明らかであり、かつ、従来この規定に基づいて定年に達した場合に当然労働関係が終了する慣行になっていて、それが従業員にも徹底している場合には、その定年による雇用関係の終了は解雇ではないので、労働基準法第19条第1項に抵触しない。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
就業規則で定年に達することで雇用契約が自動的に終了することが明記されていて、
しかも、これが慣行として根付いており、従業員にも徹底されている場合は、解雇にはあたらないので、
仮に業務上のケガで療養のために休業していても、定年の制度は有効ということですね。
で、先ほど解雇をする場合は、少なくとも30日前に労働者に予告をする必要があると述べましたが、
「30日」の考え方についてどのように考えるのかを見てみましょう。
下の問題では、休業日も30日にカウントされるのかどうかが問われています。
30日の予告期間に休業日は入るのか
(令和元年問4D)
使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少なくとも30日前にその予告をしなければならないが、予告期間の計算は労働日で計算されるので、休業日は当該予告期間には含まれない。
解説
解答:誤り
解雇予告に必要とされる「30日」ですが、これは労働日で計算されるのではなく、「暦日」でカウントされます。
なので、休業日も解雇予告の30日に含まれます。
では実際に解雇予告の日数について計算してみましょう。
下の問題では、解雇日を短縮するために解雇予告が支払われるシチュエーションになっていますが、
「30日」という考え方は同じですので見てみましょう。
解雇予告手当の計算
(平成24年問3ウ)
使用者は、ある労働者を8月31日の終了をもって解雇するため、同月15日に解雇の予告をする場合には、平均賃金の14日分以上の解雇予告手当を支払わなければならない。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
8月15日に解雇予告をするということは、翌日の16日から30日間の解雇予告期間が必要となります。
問題文では8月31日で解雇するということなので、8月16日から31日までの16日間は解雇予告期間として確保されていますが、
14日分の期間が不足していることになりますので、平均賃金の14日分の解雇予告手当を支払う形になります。
ちなみに、この解雇予告手当は解雇日までに支払えば良いことになっています。
では最後に、退職後に請求する退職証明について見ておきましょう。
下の問題では退職証明の時効について問われていますので読んでみてくださいね。
退職証明を請求するのに期限はある?
(平成29年問3C)
使用者は、労働者が退職から1年後に、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職の事由について証明書を請求した場合は、 これを交付する義務はない。
解説
解答:誤り
退職時の証明の請求権は2年となっていますので、問題文のケースではまだ有効です。
退職時の証明では、試用期間や賃金などについて証明するのですが、労働者が希望しない事項については記載してはなりません。
たとえば、解雇の理由についての証明を請求されたのに、勝手に賃金について記載することはNGということですね。
今回のポイント
- 労働者が業務上負傷し、または疾病にかかり療養のために休業する期間およびその後30日間や、産前産後の女性が第65条の規定によって休業する期間及びその後30日間については解雇をすることができません。
- 就業規則で定年に達することで雇用契約が自動的に終了することが明記されていて、しかも、これが慣行として根付いており、従業員にも徹底されている場合は、解雇にはあたりません。
- 解雇予告に必要とされる「30日」ですが、これは労働日で計算されるのではなく、「暦日」でカウントされます。
- 退職時の証明の請求権は2年となっていますので、問題文のケースではまだ有効です。
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