雇用保険法での不服申立てで、まず押さえるべきは期限などの「数字」ですね。
もちろん、数字を覚える前にどういったシステムになっているかを知っておく必要はありますが、
覚える優先順位をはっきり決めておくといいですね。
後は、「誰に」審査請求や再審査請求をするのか、というところですね。
なので、一つ一つ順を追って勉強を進めていくようにしましょうね。
さて、最初の問題は、審査請求についての過去問です。
審査請求は、誰に対して、いつまでにしなければならないのか見ていくことにしましょう。
審査請求は誰にいつまでにするの?
(令和元年問3E)
公共職業安定所長によって労働の意思又は能力がないものとして受給資格が否認されたことについて不服がある者は、当該処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月を経過するまでに、雇用保険審査官に対して審査請求をすることができる。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
雇用保険の審査請求は、「被保険者資格の得喪確認」や「失業等給付や育児休業給付」、「不正受給にかかる返還や納付」についての処分について不服があるときに、
雇用保険審査官に対して行います。
ただ、審査請求には期限があり、上記の処分の決定があったことを知った日の翌日から起算して「3ヶ月以内」に行う必要があります。
ちなみに、審査請求をするときは「文書または口頭」で、ということになっているので、口頭で審査請求を行うこともできます。
では、審査請求をしたけど何も決定が行われない時は、審査請求をした側はどのように受け止めればいいのでしょうか。
次の過去問で見てみましょう。
審査請求をしてもなしのつぶての時は??
(令和2年問6D)
失業等給付に関する処分について審査請求をしている者は、審査請求をした日の翌日から起算して3か月を経過しても審査請求についての決定がないときは、雇用保険審査官が審査請求を棄却したものとみなすことができる。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
審査請求をして3ヶ月を経過しても決定がない時は、雇用保険審査官が審査請求を棄却したものとみなすことができます。
実際になにも決定がなされないことがあるのかどうかは知りませんが、何らかの通知はしてほしいですよね。笑
で、審査請求に納得がいかない場合は、再審査請求を労働保険審査会にすることができますが、
こちらは審査請求の決定書の謄本が送付された翌日から起算して2ヶ月以内に文書で行います。
もしくは再審査請求をせずに裁判所に提訴することもできますので二つの方法があるということですね。
ここで気になるのは、審査請求や再審査請求と、裁判との関連はどうなっているのか、ということです。
つまり、時効の取り扱いですね。
審査請求や再審査請求が長引いて時効が来てしまった、なんてことは避けたいものです。
では、時効について取り扱った過去問で確認しましょう。
審査請求と時効の関係
(平成30年問7エ)
失業等給付に関する審査請求は、時効の完成猶予及び更新に関しては、裁判上の請求とみなされない。(問題文を一部補正しています。)
解説
解答:誤
「審査請求及び再審査請求は、時効の完成猶予及び更新に関して裁判上の請求とみなす」、という規定があるので、
問題文の場合も裁判上の請求とみなされます。
さて、少し話を戻しましょう。
被保険者の資格についての確認に関する処分が決まったとき、たとえば審査請求や再審査請求で「あなたは◯◯の期間は被保険者として認められません」と確定したとき、
どうしても納得いかないことがあるかもしれません。
そのときに、「あの再審査請求の決定に不満があるので、その件について審査請求します!」ということができるのでしょうか。
次の問題で確認しましょう。
処分が確定した内容について不服とした審査請求ができる??
(令和2年問6E)
雇用保険法第9条に規定する確認に関する処分が確定したときは、当該処分についての不服を当該処分に基づく失業等給付に関する処分についての不服の理由とすることができない。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
これはいわゆる「無限ループ」を防止するための規定と言えるでしょうね。
すでに処分が決定していることに対して、そのことを不服としてまた審査請求することはできないよ、ということですね。
それならとっとと裁判所に提起してください、ということなんでしょうかね。
さて、先ほど、審査請求できる内容として、「被保険者資格の得喪確認」や「失業等給付や育児休業給付」、「不正受給にかかる返還や納付」を挙げましたが、
雇用保険二事業について不服があるときはどうすればいいのでしょうか。
こちらも審査請求ができるのでしょうか。
雇用安定事業についても審査請求することができる?
(平成30年問7オ)
雇用安定事業について不服がある事業主は、雇用保険審査官に対して審査請求をすることができる。
解説
解答:誤
雇用安定事業について不服があるときは、雇用保険審査官に対しての審査請求をすることができません。
雇用保険二事業についての不服は、行政不服審査法に基づいて、厚生労働大臣に審査請求をすることになります。
こちらも、処分があったことを知った日の翌日から起算して3ヶ月以内に審査請求をする必要があり、処分があった日から1年以内に請求をしなければなりません。
もしくは、いきなり裁判所に提訴することも可能になっています。
今回のポイント
- 雇用保険の審査請求は、「被保険者資格の得喪確認」や「失業等給付や育児休業給付」、「不正受給にかかる返還や納付」についての処分について不服があるときに、雇用保険審査官に対して行います。
- 審査請求をして3ヶ月を経過しても決定がない時は、雇用保険審査官が審査請求を棄却したものとみなすことができます。
- 審査請求及び再審査請求は、時効の完成猶予及び更新に関して裁判上の請求とみなします。
- 被保険者の資格確認に関する処分が確定したときは、その処分についての不服を、失業等給付に関する処分についての不服の理由とすることができないことになっています。
- 雇用保険二事業についての不服は、行政不服審査法に基づいて、厚生労働大臣に審査請求をすることになります。
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