確定保険料は、文字どおり労働保険料が確定して保険料を精算するのですが、ここでは日付と手続き先が主な論点になってきますね。
「継続事業と有期事業で日付にどのような違いがあるのか?」
「事業を廃止したときはどうするのか?」
「もし労働保険料を納付しなかったらどうなるのか?」
などなど色々とありますが、一つ一つ丁寧に押さえていきましょう。
最初の問題では事業を廃止した時の確定保険料申告書の提出期限を取り扱っていますので見ていきましょう。
事業を廃止したときの確定保険料申告書はいつまでに提出?
(平成26年雇用問9ア)
平成26年6月30日に事業を廃止すれば、その年の8月19日までに確定保険料申告書を所轄都道府県労働局歳入徴収官に提出しなければならない。
解説
解答:正
問題文のとおりで、6月30日の翌日である7月1日から50日後である8月19日までに確定保険料申告書を提出する必要があります。
事業が廃止された時は、その翌日が保険関係消滅の日になりますので、その50日以内に確定保険料申告書を所轄都道府県労働局歳入徴収官に提出する規定になっています。
これは継続事業・有期事業のどちらもそうです。
ちなみに、継続事業で事業を廃止していなければ、事業主は保険年度ごとに次の年度の6月1日から40日以内に確定保険料申告書を提出する必要があります。
では、概算保険料を精算するのはいつになるのでしょう。
概算保険料よりも確定保険料が多い場合は、その差額を納付する必要がありますが、その時期はどのように規定されているのでしょう。
概算保険料を精算するタイミングはいつ?
(平成26年雇用問9ウ)
継続事業(一括有期事業を含む。)の事業主は、納付した概算保険料の額が法所定の計算により確定した額に足りないときは、その不足額を、確定保険料申告書提出期限の翌日から40日以内に納付しなければならない。
解説
解答:誤
概算保険料と確定保険料の差額は、「確定保険料申告書提出期限の翌日から40日以内」ではなく、「次の保険年度の6月1日から40日以内」に納付する必要があります。
つまり、上記のお金は確定保険料申告書と一緒に納付する、というわけです。
ちなみに、事業が廃止になって保険関係が消滅した時も同様です。
さて、確定保険料申告書の提出先は所轄都道府県労働局歳入徴収官であると先述しましたが、直接提出せずとも、色々と経由先があるようです。
それを次の過去問で確認するのですが、もし、概算保険料と確定保険料が同額で納付する確定保険料が0円の場合は注意が必要です。。。
確定保険料の支払いが「ゼロ円」の場合の確定保険料申告書の提出先
(令和元年労災問9D)
事業主は、既に納付した概算保険料の額と確定保険料の額が同一であり過不足がないときは、確定保険料申告書を所轄都道府県労働局歳入徴収官に提出するに当たって、日本銀行(本店、支店、代理店及び歳入代理店を いう。)、年金事務所(日本年金機構法第29条の年金事務所をいう。)又は所轄労働基準監督署長を経由して提出できる。(問題文を一部補正しています)
解説
解答:誤
概算保険料と確定保険料が同額で納付するお金がない場合、日本銀行を経由して確定保険料申告書を提出することはできません。
つまり、その場合は年金事務所や所轄労働基準監督署長を経由して提出することになります。
日本銀行はあくまで「銀行」ですので、「現金」がないのに書類だけ預かってもらうわけにはいかないのでしょうね。
では逆に、概算保険料の方が確定保険料よりも多かった場合はどうなるのでしょう。
2通りの方法があって、ひとつ目は翌年度の労働保険料に充当することができます。
2つ目は、余った労働保険料を返してもらうのですが、その場合、どこに請求すればいいのでしょうか。
次の過去問で確認しましょう。
概算保険料が多かった時の還付請求先はどこ?
(令和元年労災問9C)
事業主は、既に納付した概算保険料の額のうち確定保険料の額を超える額(超過額)の還付を請求できるが、その際、労働保険料還付請求書を所轄都道府県労働局歳入徴収官に提出しなければならない。
解説
解答:誤
概算保険料が確定保険料よりも多かったときに、超過分を還付してもらうには「所轄都道府県労働局歳入徴収官」ではなく、「官署支出官又は所轄都道府県労働局資金前渡官吏」に還付請求書を提出することになります。
歳入徴収官は、やっぱり「徴収」がメインのお仕事なんでしょうかね。笑
さあ、では最後に確定保険料申告書を提出しなかったりした場合の流れを確認しましょう。
もしお役所が納付するべき労働保険料があったときは、どのように事業主に伝えて、事業主はいつまでに納付しなければならないのでしょうか。。。
労働保険料を納付しなかったら、、、
(平成26年雇用問9オ)
所轄都道府県労働局歳入徴収官は、事業主が確定保険料申告書を提出しないとき、又はその申告書の記載に誤りがあると認めるときは、労働保険料の額を決定し、これを事業主に通知するが、この通知を受けた事業主は、納付した労働保険料の額がその決定した労働保険料の額に足りないときはその不足額を、納付した労働保険料がないときは所轄都道府県労働局歳入徴収官の決定した労働保険料を、その通知を受けた日の翌日から起算して15日以内に納付しなければならない。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
事業主は、所轄都道府県歳入徴収官の通知を受けた日の翌日から15日以内に不足分の労働保険料を納付する必要があります。
この通知を「認定決定」といいます。
で、この認定決定の通知は「納入告知書」によって行われる、ということも合わせて押さえておきましょう。
今回のポイント
- 事業が廃止された時は、その翌日が保険関係消滅の日になりますので、その50日以内に確定保険料申告書を所轄都道府県労働局歳入徴収官に提出する必要があります。
- 概算保険料と確定保険料の差額は、「確定保険料申告書提出期限の翌日から40日以内」ではなく、「次の保険年度の6月1日から40日以内」に納付する必要があります。(確定保険料申告書に添えて納付)
- 概算保険料と確定保険料が同額で納付するお金がない場合、日本銀行を経由して確定保険料申告書を提出することはできません。
- 概算保険料が確定保険料よりも多かったときに、超過分を還付してもらうには「所轄都道府県労働局歳入徴収官」ではなく、「官署支出官又は所轄都道府県労働局資金前渡官吏」に還付請求書を提出することになります。
- 認定決定の通知(納入告知書)を受けた事業主は、通知を受けた日の翌日から15日以内に不足分の労働保険料を納付する必要があります。
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