今回は、遺族(補償)年金を受け取ることが「できない」要件の過去問を集めてみました。
遺族(補償)年金の支給要件であげられるのは「年齢」と「障害」、「生計維持」でしょうか。
これらを「夫」なら〇〇、「子」なら〇〇というように押さえていく必要があるので大変ですが、一つずつ知識を身につけるようにしましょう。
それでは最初の過去問です。
これは、遺族(補償)年金を受ける権利が消滅する最たるものと言ってもいいかもしれませんね。
〇〇に死亡させたときは遺族補償年金を受け取る権利は消滅
(平成27年問7オ)
遺族補償年金を受けることができる遺族が、遺族補償年金を受けることができる先順位又は同順位の他の遺族を故意に死亡させたときは、その者は、遺族補償年金を受けることができる遺族でなくなり、この場合において、その者が遺族補償年金を受ける権利を有する者であるときは、その権利は、消滅する。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
遺族補償年金を受け取ることができる「先順位」または「同順位」の他の遺族を「故意」に死亡させたときは、遺族補償年金を受け取る権利が消滅します。
ポイントは、
- 「先順位」または「同順位」の他の遺族を
- 「故意」に死亡させたとき
です。
このあたりは正確に押さえて置くようにしましょうね。
次は「養子」に関する遺族補償年金の要件です。
一口に養子と言っても、誰の養子になるのかで、遺族補償年金を受け取る権利が消滅するかどうかが決まります。
では下の過去問で確認しましょう。
直系〇〇の養子になった時は遺族補償年金を受け取る権利が消滅
(平成23年問3A)
遺族補償年金を受ける権利は、その権利を有する遺族が、直系血族又は直系姻族である者の養子となったときは、消滅する。
解説
解答:誤
「直系血族又は直系姻族」である者の養子ではなく、「直系血族又は直系姻族以外」の者の養子となったときに遺族補償年金を受ける権利が消滅します。
たぶん、規定自体は他の科目でも出てきますのでご存知かと思いますが、本試験会場で緊張している時にこの問題文を読んで「あ、知ってる知ってる」みたいな感じで読み飛ばしてしまうと大変ですので、問題文はきっちりと読み飛ばしのないように読むようにしましょう。
では、先ほどの知識を確認したうえで、下の問題を見てみましょう。
そもそも直系血族、直系姻族ってなんでしたっけ??
伯父の場合はどうなる?
(平成28年問6ウ)
遺族補償年金を受ける権利は、その権利を有する遺族が、自分の伯父の養子となったときは、消滅する。
解説
解答:正
「自分の伯父の養子」となったときは、遺族補償年金を受ける権利は消滅します。
直系血族というのは、父母、祖父母、子、孫など、家系図を書いたときに上下のラインに来る人々のことを指します。
直系姻族は、自分の配偶者の直系血族や自分の直系血族の配偶者(自分の子どもの配偶者など)のことをいいます。
その線で考えると、伯父さんは直系血族にはならず、傍系血族というくくりになるので、その伯父さんの養子になると遺族補償年金を受ける権利は消滅するということになります。
さて、次は直系血族である「孫」の遺族補償年金の取り扱いについての問題を見てみましょう。
孫の場合の遺族(補償)年金の支給要件には「年齢」と「障害」があります。
下の過去問の場合、遺族補償年金はどうなるのでしょう。
孫が障害の状態でなくなったら遺族補償年金を受け取れなくなる?
(平成23年問3E)
遺族補償年金を受ける権利は、その権利を有する、労災保険法第16条の2第1項第4号の厚生労働省令で定める障害の状態にあった孫が、その障害の状態がなくなったときは、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるときであっても、消滅する。
解説
解答:誤
問題文の場合、遺族補償年金を受ける権利は消滅しません。
孫の場合、「18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるとき」は、所定の「障害の状態」でなくなっても遺族補償年金を受ける権利はなくなりません。
ちなみに「所定の障害の状態」というのは障害等級5級以上などの状態を言います。
夫や父母、祖父母や兄弟姉妹といった他の遺族の年齢要件などはテキストなどこの期に確認しておきましょう。
では最後に事例問題で知識を整理しておきましょう。
次の問題は、「子」に関する支給要件が論点になっています。
問題文では「子」は2人登場しますが、年齢や生計維持といった要件を当てはめてみましょう。
「子」が遺族補償年金を受け取れないのはどんなとき?
(令和2年問6C)
業務上の災害により死亡した労働者Yには2人の子がいる。1人はYの死亡の当時19歳であり、Yと同居し、Yの収入によって生計を維持していた大学生で、もう1人は、Yの死亡の当時17歳であり、Yと離婚した元妻と同居し、Yが死亡するまで、Yから定期的に養育費を送金されていた高校生であった。2人の子は、遺族補償年金の受給資格者であり、同順位の受給権者となる。
解説
解答:誤
問題文の場合、2人とも遺族補償年金の受給資格者になるわけではありません。
問題文にある「19歳の子」は、「18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあること」の年齢要件を満たしていないのですし、所定の障害の状態でもなさそうですので、受給資格者にはなれません。
もう1人の「17歳の子」は、年齢要件は満たしていますね。
ただ、亡くなったYさんとは別居していたようですが、「定期的に養育費を送金されていた」そうですので、養育費が生計維持と認められれば、遺族補償年金の受給資格者になることができます。
なので、遺族補償年金の受給資格者になれる可能性があるのは「17歳の子」だけということになります。
今回のポイント
- 遺族(補償)年金を受け取ることができる「先順位」または「同順位」の他の遺族を「故意」に死亡させたときは、遺族補償年金を受け取る権利が消滅します。
- 「直系血族又は直系姻族以外」の者の養子となったときに遺族補償年金を受ける権利が消滅します。
- 孫の場合、「18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるとき」は、所定の「障害の状態」でなくなっても遺族補償年金を受ける権利はなくなりません。
各科目の勉強法の記事をまとめました
労働基準法から一般常識までの全科目の勉強法の記事をまとめましたのでぜひご覧ください
リンク「社労士試験 独学合格法 各科目の勉強方法の記事をまとめました!」
科目ごとにまとめて記事を見ることができます!
スマホでご覧になっていただいている場合は、一番下までスクロールすると、科目名が並んでいますのでご覧になりたい科目をタップいただくと、その科目だけの記事を見ることができます。
もしくは、一番右上の三本線(メニューになっています)をタップしていただいて科目名を表示させる方法もあります。
ぜひご活用ください!
この記事へのコメントはありません。