「時効」については、他の科目にもありますので、「どれが何年」と覚えるのが大変ですね。
とりあえずは一通り学習して、後で横断学習で科目ごとの違いを比較しながら押さえていくといいと思います。
厚生年金法の時効は2年と5年の2種類ありますので、下の過去問を読みながら確認しましょう。
で、時効についての論点は年数だけではなく、「起算日」や「進行」、「更新」といったようにいろいろな角度から問われているので一つ一つ見ていきましょう。
最初の問題は、「保険給付」についての時効です。
保険給付を受ける時の時効は何年?
(平成23年問6C)
保険給付を受ける権利は、その支給すべき事由が生じた日から5年を経過したとき、時効により消滅する。(問題文を補正しています)
解説
解答:正
問題文のとおりです。
保険給付を受ける権利は、「その支給すべき事由が生じた日」から5年を経過したときに時効で消滅します。
ちなみに、未支給の年金の時効の起算日は、その年金の支払日の翌月の初日となります。
つまり、保険給付を受ける権利(基本権)と未支給年金(支分権)で起算日が違うということを意識しておくといいですね。
では時効の起算日についてもう一問見ておきましょう。
論点の視点が違いますが、同じ内容ですので確認していきましょう。
時効の起算日はいつから?
(平成24年問2E)
老齢厚生年金の受給権者が裁定請求をしないまま死亡した場合の未支給の老齢厚生年金の保険給付については、当該死亡した受給権者と生計を同じくしていた弟がいるときは、その者の死亡時から起算して7年以内に、厚生労働大臣に未支給の保険給付の請求を行わなければならない。なお、当該受給権者は、第1号厚生年金被保険者期間のみを有していた者とする。
解説
解答:誤
「その者の死亡時から起算」ではなく、「老齢厚生年金を支給すべき事由が生じた日から起算」して、
「7年」ではなく、「5年」以内に請求を行う必要があります。
もう一度確認しておきましょう。
基本権である、保険給付を受ける権利は、「支給すべき事由が生じた日」から5年を経過したときは時効により消滅します。
さて、ここまでは保険給付のお話でしたが、今度は「徴収」に関する時効について見てみましょう。
時効の年数に違いはあるのでしょうか。
保険料以外の徴収金を徴収する権利の時効は??
(平成23年問6B)
保険料以外の、厚生年金保険法の規定による徴収金を徴収する権利は、これを行使することができる時から2年を経過したとき、時効により消滅する。(問題文を補正しています)
解説
解答:正
問題文のとおりで、保険料以外の徴収金を徴収する権利は、徴収することを行使することができる時から2年を経過した時は時効で消滅します。
ちなみに、保険料の徴収に関する時効も2年ですし、還付を受ける権利も同様に2年と規定されています。
つまり、保険料やその他の徴収金を徴収する権利、還付を受ける権利は、これらを行使することができる時から2年を経過したときは、時効で消滅します。
で、先ほどから時効は5年とか2年だといった話をしていますが、この時効の進行が止まる時はあるのでしょうか。
時効が進行しないケースを確認しましょう。
年金が停まってる時の時効って、、、?
(平成30年問3ウ)
年金たる保険給付を受ける権利の時効は、当該年金たる保険給付がその全額につき支給を停止されている間であっても進行する。
解説
解答:誤
年金給付を受ける権利の時効は、その年金が全額支給停止になっている時は、停止になっている間は進行しないことになっています。
つまり、年金給付してもらえるのに放っておくと時効が進行しますが、全額支給停止になっていると時効は進まない、ということですね。
全額支給停止になっているのに時効だけが進むのではたまったものではないですね。
さて、今度は逆に時効がリセットになるケースを見ておきましょう。
半年、1年と時効が迫っていってるなか、「あること」をすると、またゼロから時効がスタートするということですね。
告知や督促の時効に対する効果
(平成23年問6E)
保険料その他、厚生年金保険法の規定による徴収金の納入の告知又は第86条第1項の規定による督促は、時効の更新の効力を有する。(問題文を補正しています)
解説
解答:正
問題文のとおりです。
徴収金の納入の「告知」をしたり、「督促」をすると、これまで進んでいた時効期間がリセットされて、また新しく時効の進行が始まるということになります。
時効がリセットされることを「時効の更新の効力を有する」というのですね。
ちなみに、問題文に「第86条第1項」とありますが、内容は以下のようになっています。
第八十六条 保険料その他この法律の規定による徴収金を滞納する者があるときは、厚生労働大臣は、期限を指定して、これを督促しなければならない。ただし、前条の規定により保険料を徴収するときは、この限りでない。
今回のポイント
- 保険給付を受ける権利は、「その支給すべき事由が生じた日」から5年を経過したときに時効で消滅します。
- 保険料やその他の徴収金を徴収する権利、還付を受ける権利は、これらを行使することができる時から2年を経過したときは、時効で消滅します。
- 年金給付を受ける権利の時効は、その年金が全額支給停止になっている時は、停止になっている間は進行しないことになっています。
- 徴収金の納入の「告知」をしたり、「督促」をすると、これまで進んでいた時効期間がリセットされて、また新しく時効の進行が始まるということになります。
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