過去問

「厚生年金法 読めば自然と身につく失業等給付との調整」過去問・厚-36

厚生年金は、在職老齢年金のように働いていて収入があると年金額が調整されますが、失業して基本手当をもらっても老齢厚生年金が止まってしまうのですね。苦笑

社労士試験では、どんな流れで老齢厚生年金が支給停止されるのか、事後精算はどのようなルールになっているのかなどについて出題されていますので見ていくことにしましょう。

最初の問題は、基本的な流れについてを確認する形になっています。

 

老齢厚生年金と失業等給付との調整はどのように行われる?

(平成24年問9C)

60歳台前半の老齢厚生年金は、雇用保険法に基づく基本手当の受給資格を有する受給権者が同法の規定による求職の申し込みをしたときは、当該求職の申し込みがあった月の翌月から月を単位に支給停止される。なお、1日でも基本手当を受けた日がある月については、その月の老齢厚生年金が支給停止されてしまうため、事後精算の仕組みによって、例えば90日の基本手当を受けた者が、4か月間の年金が支給停止されていた場合、直近の1か月について年金の支給停止が解除される。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

ポイントは、

  • 求職の申し込みがあった月の翌月から月を単位に老齢厚生年金が支給停止されます。
  • 1日でも基本手当を受けた日があるは、その月の老齢厚生年金が支給停止されてしまうので
  • 事後精算の仕組みがあります。

事後精算は、

「年金が停止された月数」ー「基本手当の支給日数÷30」

で、1以上の時はその月数の老齢厚生年金の支給停止が解除される形になります。

問題文の場合は、

4か月 – (90日÷30) = 1月

となるので、直近の1か月分の老齢厚生年金の支給停止が解除されます。

次の問題は、失業して基本手当の受給資格を得ても、求職の申込をしなかったら老齢厚生年金はどうなるのか確認しましょう。

 

雇用保険法上の求職の申込をしなかったら?

(平成29年問10C)

特別支給の老齢厚生年金は、その受給権者が雇用保険法の規定による基本手当の受給資格を有する場合であっても、当該受給権者が同法の規定による求職の申込みをしないときは、基本手当との調整の仕組みによる支給停止は行われない。

 

解説

解答:正

問題文のとおりで、求職の申込みをしないときは、基本手当と調整されることはありません。

前の問題のポイントに戻って確認すると、

  • 求職の申し込みがあった月の翌月から月を単位に老齢厚生年金が支給停止されます。

とあります。

求職の申込をしないということは、基本手当をもらうつもりはないということですから、老齢厚生年金を止める理由がないですよね。

なので、問題文のような場合は、基本手当との調整の仕組みによる支給停止は行われない、ということになるんですね

さて、求職の申込みをして基本手当が支給されるには、失業の認定が必要になりますよね。

もし、失業の認定を受けることなく、基本手当をもらわなかった月があったらどうなるのでしょうか。。。

 

基本手当の支給を受けなかった月があったら老齢厚生年金はどうなる?

(平成30年問9E)

雇用保険法に基づく基本手当と60歳台前半の老齢厚生年金の調整は、当該老齢厚生年金の受給権者が、管轄公共職業安定所への求職の申込みを行うと、当該求職の申込みがあった月の翌月から当該老齢厚生年金が支給停止されるが、当該基本手当の受給期間中に失業の認定を受けなかったことにより、1日も当該基本手当の支給を受けなかった月が1か月あった場合は、受給期間経過後又は受給資格に係る所定給付日数分の当該基本手当の支給を受け終わった後に、事後精算の仕組みによって直近の1か月について当該老齢厚生年金の支給停止が解除される。

 

解説

解答:誤

問題文のように、基本手当の支給が1日もない月が出た場合は、事後精算で支給停止が解除されるのではなく、最初から支給停止が行われません

なので、その分早いタイミングで年金をもらうことができる、ということになりますね。

では最後に、支給停止される老齢厚生年金の方に目を向けてみましょう。

老齢厚生年金に加給年金額が加算されている場合、本体の年金と一緒に支給停止されるのかどうかチェックしましょう。

 

基本手当との調整では加給年金額も支給停止に?

(平成26年問5D)

加給年金額が加算された60歳台前半の老齢厚生年金が、雇用保険の基本手当との調整により支給停止される場合であっても、加給年金額については支給停止されない。

 

解説

解答:誤

基本手当との調整で特別支給の老齢厚生年金が支給停止される場合は、残念ながら加給年金額も一緒に支給停止されます。

加給年金額が加算されているということは、家族がいるということですから、なんとか大目に見てもらいたいところではありますよね。苦笑

 

今回のポイント

  • 基本手当との調整のポイントは、
    • 求職の申し込みがあった月の翌月から月を単位に老齢厚生年金が支給停止されます。
    • 1日でも基本手当を受けた日があるは、その月の老齢厚生年金が支給停止されてしまうので
    • 事後精算の仕組みがあります。
  • 事後精算は、「年金が停止された月」ー「基本手当の支給日数÷30」で、1以上の時はその月数の老齢厚生年金の支給停止が解除される形になります。
  • 求職の申込みをしないときは、基本手当と調整されることはありません。
  • 基本手当の支給が1日もない月が出た場合は、最初から支給停止が行われません
  • 基本手当との調整で特別支給の老齢厚生年金が支給停止される場合は、残念ながら加給年金額も一緒に支給停止されます。

 

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