「健康保険法 過去問で読み解く資格の得喪」過去問・健保-30

健康保険について被保険者の資格の取得や喪失は、保険者の「確認」によってその効力が生じることになっています。

これは、雇用保険と同じで、事業主が資格取得届や喪失届、被保険者などによる確認の請求、後は保険者の職権ですね。

ただ、健康保険の場合は、任意継続被保険者の制度があるので、そのあたりがどうなっているのかを押さえておくといいでしょう。

今回は、そういった「資格の取得・喪失(得喪)についての過去問を見ていくことにしましょう。

 

資格の得喪の基準は?

(平成22年問10E)

被保険者資格の得喪は、事業主との使用関係の有無により決められるが、この使用関係の有無を判断する場合には、画一的かつ客観的な処理の要請から、形式的な雇用契約の有無によって判断される。なお、このように使用関係の有無を被保険者資格得喪の要件とするが、その資格得喪の効力発生を保険者の確認を要すこととしており、保険者の確認があるまでは、資格の得喪の要件が備わってもその効力は発生しない。

 

解説

解答:誤

被保険者資格の得喪は、「形式的な雇用契約の有無によって判断される」のではなく、「実体的な使用関係の有無で判断されます。」

被保険者の資格については、仕事をしている日数(稼働日数)やお給料(労務報酬)などから判断して、実体的に使用関係が認められる場合は、被保険者資格を取得することになります。

また、問題文にもありますが、被保険者の資格の取得及び喪失は、保険者が確認したあとにその効力が生じるので、それまでは、資格の得喪の要件がそろっているからといって、保険者の確認があるまではその効力はありません。

ちなみに、これは通達からの問題です。

興味がある方は下記のリンクからどうぞご確認ください。

参考記事:昭和二六年一一月二日 保文発第四六〇二号

次の過去問は、先ほど出た「確認」についてです。

たとえば、自分が被保険者の要件を満たしているのに被保険者の資格がない場合に、確認の請求ができるのか、ということですね。

 

被保険者による資格の得喪の確認はできる?

(平成22年問7E)

被保険者が被保険者資格の取得及び喪失について確認したいときは、いつでも保険者等にその確認を請求することができる。保険者等は、その請求があった場合において、その請求に係る事実がないと認めるときは、その請求を却下しなければならない。

 

解説

解答:正

問題文の通りです。

これは、条文を確認してみましょう(問題文はほとんど条文のままですけどね。)

(確認の請求)
法51条
1 被保険者又は被保険者であった者は、いつでも、第39条第1項の規定による確認を請求することができる
2 保険者等は、前項の規定による請求があった場合において、その請求に係る事実がないと認めるときは、その請求を却下しなければならない。

2項のように、たとえば、被保険者になるための要件を満たしていないときは、いくら確認の請求をしても被保険者になれっこないので、その時は請求を却下するということなんでしょうね。

次の問題は、「通知」に関する過去問です。

事業主への規定にも注目してみましょう。

 

保険者から通知を受けた事業主はどうする必要がある?

(令和元年問1B)

保険者等は被保険者の資格の取得及び喪失の確認又は標準報酬の決定若しくは改定を行ったときは、当該被保険者に係る適用事業所の事業主にその旨を通知し、この通知を受けた事業主は速やかにこれを被保険者又は被保険者であった者に通知しなければならない。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

「被保険者資格の確認」や「標準報酬」の決定、改定を行ったときに、保険者が事業主に通知しなければならないのはあたりまえですよね。

で、通知を受けた事業主も、通知を受け取ったら、こ被保険者又は被保険者であった者にも通知しないと具合が悪いですよね。

だって、たとえば、標準報酬月額に変更があったときに、それを被保険者にちゃんと伝えないと、

「あれ、給与明細の金額おかしいんですけど」

って苦情が来ますよね。苦笑

さて、健康保険の資格取得については、保険者の確認が必要ということはご理解いただけたと思いますが、資格取得届を行なう前に生じた事故についての取り扱いについて、次の過去問でチェックしましょう。

 

資格取得届を行う前に生じた事故の扱いは?

(平成26年問7E)

被保険者(任意継続被保険者又は特例退職被保険者を除く。)の資格取得は、保険者等の確認によってその効力を生ずることとなり、事業主が資格取得届を行う前に生じた事故の場合については、遡って資格取得の確認が行われたとしても、保険事故として取り扱われることはない。

 

解説

解答:誤

事業主が資格取得届を行う前に生じた事故の場合についても、さかのぼって資格取得の確認が行われたときは、保険事故として取り扱われることになります。

ちなみに、もし保険料を支払っていなかったとしたら保険料もさかのぼって請求されることにはなります。

この問題も通達からの問題ですので、リンクを貼っておきます。

ただ、ここに書かれている条文は厚生年金法となっていますのでご了承くださいね。

 

参考記事:昭和三一年一一月二九日 保文発第一〇、一四八号

 

では最後に、任意継続被保険者などについての「確認」の論点を確認しておきましょう。

 

任意継続被保険者などに確認は必要か?

(平成30年問2C)

任意適用事業所の適用の取消しによる被保険者の資格の喪失並びに任意継続被保険者及び特例退職被保険者の資格の喪失の要件に該当した場合は、被保険者が保険者等に資格喪失の届書を提出しなければならず、当該資格喪失の効力は、保険者等の確認によって生ずる。

 

解説

解答:誤

問題文の場合は、どれも確認は不要です。

それは、任意適用事業所の適用が取消しになれば被保険者の資格がなくなるのは当然の流れですし、

任意継続被保険者や特例退職被保険者については、一般の被保険者と違って「自分の意志」で被保険者になりたいと申し出るわけですので、保険者が確認をする必要はないからです。

また、「被保険者が」保険者等に資格喪失の届書を提出するのではなく、事業主」が「被保険者資格喪失届」を日本年金機構へ提出することになります。

というのも手続きの流れとして、事業主が任意適用の取消について認可を受け、そのあとに、被保険者の資格喪失届を出すことになっているからです。

なので、被保険者が資格喪失届を出すよりも事業主がやった方が早いですね。

 

今回のポイント

  • 被保険者資格の得喪は、「実体的な使用関係の有無で判断されます。
  • 被保険者が被保険者資格の取得及び喪失について確認したいときは、いつでも保険者等にその確認を請求することができます。
  • 保険者は、被保険者の資格の得喪の確認や標準報酬の決定もしくは改定を行ったときは、事業主にその旨を通知し、この通知を受けた事業主は、速やかにこれを被保険者又は被保険者であった者に通知しなければなりません。
  • 事業主が資格取得届を行う前に生じた事故の場合についても、さかのぼって資格取得の確認が行われたときは、保険事故として取り扱われることになります。
  • 任意適用事業所の適用の取消しによる被保険者の資格の喪失、任意継続被保険者や特例退職被保険者の資格の喪失については確認はされません。

 

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