賃金については、どの手当が賃金に入るのか、といった定義の問題から平均賃金、果ては割増賃金など幅広くて大変ですよね。
それぞれ要件がありますから、混同しないように押えることが大切になってきます。
簡単な表などを作って視覚的に確認するとわかりやすいでしょう。
今回は、賃金の定義や平均賃金について触れたいと思います。
中には、事例問題っぽいのもありますが順番に見ていくことにしましょう。
賃金に含まれる手当とは
(平成26年問3ア)
賞与、家族手当、いわゆる解雇予告手当及び住宅手当は、労働基準法第11条で定義する賃金に含まれる。
解説
解答:誤
解雇予告手当は賃金には含まれません。
そもそも賃金というのは労働の対償で支払われるものですが、解雇予告手当は、解雇される労働者の生活を保護するためのものですから、
「◯月分のお給料」
という考え方とは違いますよね。
なので、解雇予告手当は賃金とは一線を画すものになります。
では、解雇ではなく、通常の退職に視点を移したときに、「退職手当」は賃金に入るのでしょうか。
もし入るとすればどんな条件が必要になるのでしょう。
退職手当は賃金に入る?
(平成27年問4D)
労働協約、就業規則、労働契約等によってあらかじめ支給条件が明確である場合の退職手当は、労働基準法第11条に定める賃金であり、同法第24条第2項の「臨時に支払われる賃金」に当たる。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
通常、退職金や結婚祝金、病気見舞金などは任意のもので恩恵的なものになるので賃金にはあたらないのですが、
労働協約や就業規則、労働契約などで支給条件が明らかにされている場合は、「臨時の賃金」ということで賃金になります。
こちらは通達にありますのでリンクを貼っておきますね。
「法第一一条関係」の箇所に記載がありますので、ご自由にご参考になさっていただければと思います。
参考記事:労働基準法の施行に関する件 昭和二二年九月一三日 発基第一七号
では恩恵的なものについての問題をもう一問見ておきましょう。
問題文のアプローチの仕方が少し違いますが、論点にしていることは同じです。
結婚手当は就業規則で支給が決まっていても賃金にならない?
(平成22年問3B)
結婚手当は、使用者が任意的、恩恵的に支給するという性格を持つため、就業規則によってあらかじめ支給条件が明確に定められ、その支給が使用者に義務付けられている場合でも、労働基準法第11条に定める賃金には当たらない。
解説
解答:誤
問題文のように、就業規則で支給条件が明確に定められている結婚手当は賃金になります。
さて、以下は平均賃金についての過去問を確認していこうと思いますが、平均賃金の算定方法といえば、
「算定すべき事由の発生した日以前3箇月間にその労働者に対して支払われた賃金の総額をその期間の総日数で除した金額」
が原則になるわけですが、
「臨時に支払われた賃金及び3箇月を超える期間ごとに支払われる賃金」
は含まれません。
ならば、下の問題のケースはどうなるのでしょう。
通勤手当や家族手当といった手当のたぐいは平均賃金に参入されるものなのでしょうか。
平均賃金に参入されるものとは
(平成27年問2A)
平均賃金の計算の基礎となる賃金の総額には、3か月を超える期間ごとに支払われる賃金、通勤手当及び家族手当は含まれない。
解説
解答:誤
平均賃金を算定する場合、通勤手当や家族手当は算定に含まれます。
気を付けなければならないのは、
通勤手当や家族手当は、割増賃金の計算には含まれない
という点です。
なので、記憶が曖昧な場合は整理しておくようにしましょうね。
では最後に、平均賃金を計算するときの実務に関連した過去問を確認しましょう。
基本給の締め日と残業手当の締め日が違う場合にどうするか、というところが論点になっています。
賃金の締切日が複数ある場合の取り扱い
(平成27年問2E)
賃金締切日が、基本給は毎月月末、時間外手当は毎月20日とされている事業場において、例えば6月25日に算定事由が発生したときは、平均賃金の起算に用いる直前の賃金締切日は、基本給、時間外手当ともに基本給の直前の締切日である5月31日とし、この日から遡った3か月が平均賃金の算定期間となる。
解説
解答:誤
平均賃金の計算をするときの賃金締切日は、それぞれの賃金で設定されている賃金締切日で算定されるので、問題文のように一括されるわけではありません。
なので、問題文の場合は、基本給の賃金締切日は「5月31日」、時間外手当の賃金締切日は「6月20日」に設定されて、それぞれの3ヶ月を切り取って平均賃金を計算することになります。
今回のポイント
- 解雇予告手当は賃金には含まれません。
- 通常、退職金や結婚祝金、病気見舞金などは任意のもので恩恵的なものになるので賃金にはあたらないのですが、労働協約や就業規則、労働契約などで支給条件が明らかにされている場合は、「臨時の賃金」ということで賃金になります。
- 平均賃金の算定方法は、「算定すべき事由の発生した日以前3箇月間にその労働者に対して支払われた賃金の総額をその期間の総日数で除した金額」が原則になるわけですが、「臨時に支払われた賃金及び3箇月を超える期間ごとに支払われる賃金」は含まれません。
- 平均賃金を算定する場合、通勤手当や家族手当は算定に含まれますが、割増賃金の計算には入りませんので注意が必要です。
- 平均賃金の計算をするときの賃金締切日は、それぞれの賃金で設定されている賃金締切日で算定されます。
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