過去問

「厚生年金法 保険料の仕組みをまるっと説明します!」過去問・厚-30

厚生年金の保険料は、国民年金の基礎年金拠出金の分も含めて保険事業に要する費用にあてるために徴収されていて、

事業主は、保険料を基本的に翌月末日までに納付しなければなりません。

また、保険料は月ベース(日割りはない)で運用され、1ヶ月の間に資格の取得と喪失が行われても、1ヶ月分の被保険者期間とカウントされて保険料が発生する仕組みになっています。

で、この保険料は事業主と被保険者の双方で負担することになっているのですが、最初の過去問は、その負担割合を変更できるのか、という論点になります。

 

保険料の負担割合は変更できる?

(平成25年問7A)

被保険者及び被保険者を使用する事業主は、それぞれ厚生年金保険料の半額を負担するが、事業主は自らの負担すべき保険料額の負担の割合を増加することができる。

解説

解答:誤

「増加することができる」の箇所が誤りです。

まず、条文を確認しましょう。

(保険料の負担及び納付義務)法82条
1 被保険者及び被保険者を使用する事業主は、それぞれ保険料の半額負担する。

条文でははっきりと「半額」と書いてありますね。

なので、保険料の負担割合を変更することはできないのです。

なかには、福利厚生の目的で会社側が被保険者分の保険料の負担をするというところもあるかもわかりませんが、法律上は半分ずつである、という認識で試験問題に取り組むようにしましょう。

では次は被保険者期間の計算の仕方についての過去問を見てみましょう。

 

月末で退職した時の保険料負担はいつまで?

(平成24年問4E)

厚生年金保険の保険料は、月末に被保険者の資格を取得した月は当該月の保険料が徴収されるが、月の末日付けで退職したときは、退職した日が属する月分の保険料は徴収されない。

 

解説

解答:誤

月末に退職したときは、退職した日が属する月分の保険料は徴収されますので誤りです。

規定では、被保険者期間を計算する場合には、によるものとし、被保険者の資格を取得した月からその資格を喪失した月の前月までをこれに算入することになります。

問題文のように、月末で退職したときは、翌月1日が資格喪失日となり、資格喪失日の前月である退職した月の保険料が徴収されることになります。

なので、保険料を浮かすために、退職日を月末ではなく月末の1日前にするようなところもあるとかないとか、、、?

さて、このご時世になると、副業を認めている会社も少しずつ増えているようですが、仮に副業側の会社の社会保険にも入るということになった場合、保険料の負担はどうなるのでしょうか。

次の過去問で確認しましょう。

 

複数の事業所で働いている時の保険料の負担はどうなる?

(平成28年問6B)

第1号厚生年金被保険者が同時に2以上の適用事業所(船舶を除く。)に使用される場合における各事業主の負担すべき標準報酬月額に係る保険料の額は、各事業所について算定した報酬月額を当該被保険者の報酬月額で除し、それにより得た数を当該被保険者の保険料の半額に乗じた額とする。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

たとえば、AとBの2つの会社の厚生年金に入っているとします。

Aのお給料が15万円、Bのお給料を10万円としますね。

なので、合計のお給料は25万円となり、標準報酬月額は26万円となります。(令和2年度・東京都)

で、保険料の計算の仕方はというと、A社の保険料は「26万円×(15万円÷25万円)=15.6万円」となり、

この15.6万円を事業主と被保険者で半分こするので、「15.6万円÷2=7.8万円」ずつを事業主や被保険者が負担するという形になります。

つまり、お給料の額の大きさによって保険料の負担割合が決まる、ということになりますね。

ちなみに、2以上の事業所に使用されることになった場合は、10日以内に被保険者が主たる事業所を選択して「健康保険・厚生年金保険 所属選択・二以上事業所勤務届」を年金事務所に提出することになっています。

では、最後に、育児休業を取った時の保険料免除について、どこまでの被保険者が対象になっているのかを確認しておきましょう。

 

育休中の保険料は高齢任意加入被保険者も免除になる?

(令和元年問2E)

育児休業期間中の第1号厚生年金被保険者に係る保険料の免除の規定については、任意単独被保険者は対象になるが、高齢任意加入被保険者はその対象にはならない。

 

解説

解答:誤

高齢任意加入被保険者を外す規定はありませんので、高齢任意加入被保険者育休中の保険料免除対象になります。

ちなみに、雇用保険法の育児休業給付についても高年齢被保険者は対象になっています。

厚生年金の保険料が免除され、雇用保険の育児休業給付が支給されば、パパの育児休業も取りやすくなりますね。

少子高齢化の現代ですから、少しでも働きやすい環境にしてもらえるといいですね。

 

今回のポイント

  • 被保険者及び被保険者を使用する事業主は、それぞれ保険料の半額負担することになっています。
  • 月末に退職したときは、退職した日が属する月分の保険料が徴収されます。
  • 2以上の適用事業所に使用されている場合の保険料は、お給料の額の大きさによって保険料の負担割合が決まります。
  • 高齢任意加入被保険者育休中の保険料免除対象になります。

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