労災保険の特別加入には、「中小事業主等」、「一人親方等」、「海外派遣者」の3種類があります。
社労士試験では、特別加入の定義だったり、特別支給金との関係、通勤災害の適用など色々な形で出題されています。
中には難しい問題もありますが、まずは基本を押さえるようにして、みんなが解ける問題の取りこぼしをしないことが何より大切です。
それでは基本的な過去問をチェックしていきましょう。
中小事業主の特別加入の趣旨とは?
(平成26年問2オ)
労災保険は、労働者の業務又は通勤による災害に対して保険給付を行う制度であるが、業務の実態、災害の発生状況等に照らし、実質的に労働基準法適用労働者に準じて保護するにふさわしい者に対し、労災保険の適用を及ぼそうとする趣旨から、中小事業主等に特別加入の制度を設けている。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
たとえば、金属の加工をしている工場なんかで、従業員の方と一緒になって作業をしている、ということはよくあることです。
社長さんでも、そういった作業をしているときは労働者と変わりないわけですね。
なので、中小企業の事業主も労災保険には、特別加入という形で入れますよ、といった制度になっているんですね。
一人親方の場合、通勤災害が適用されないことがある?
(平成22年問1D)
一人親方等の特別加入者のうち、漁船による水産動植物の採捕の事業を労働者を使用しないで行うことを常態とする者は、自宅から漁港までの移動が通勤とみなされ、通勤災害に関しても労災保険の適用を受けることができる。
解説
解答:誤
問題文の場合は、労災保険の適用を受けることができません。
一人親方というのは、文字どおり、従業員を使用せず、自営業という形で仕事をしている人で、問題文にあるような漁師さんや、個人タクシーの運転手さん、大工さんなどが当てはまります。
こういった一人親方の場合、通勤災害が適用されないことがあります。
それは、問題文にある漁師さんや個人タクシーの運転手さんなどの場合、自宅と仕事場所との往復の実態が明確になっていないために通勤災害の適用がないのです。
たとえば、漁師さんでも、自宅が海に面していて、地下に降りると漁船が置いてある、なんてこともありますし、個人タクシーでも、自宅の駐車場にタクシーが置いてあることもありますよね。
なので、上記の場合は通勤災害の適用を受けることができない、という理屈になっているんですね。
海外で直接採用された人も特別加入できる??
(平成26年問2ウ)
日本に本社を有する企業であれば、その海外支店に直接採用された者についても、所轄都道府県労働局長に特別加入の申請をして承認を受けることによって、労災保険法が適用される。
解説
解答:誤
問題文のように、海外支店に直接採用されるといった、現地採用者については、特別加入ができないので、労災保険法が適用されることはありません。
海外派遣者の特別加入は、日本から海外に「派遣」される場合に適用されるものです。
ですので、海外で現地採用された場合は、現地の法律に従うことになります。
今回のポイント
- 中小事業主等に対する特別加入の趣旨は、業務の実態、災害の発生状況等に照らし、実質的に労働者に準じて保護するにふさわしい者に対し、労災保険の適用をしようというものです。
- 一人親方で、漁師さんや個人タクシーの運転手さんなどの場合、自宅と仕事場所との往復の実態が明確になっていないために通勤災害の適用がありません。
- 海外支店に直接採用されるといった、現地採用者については、海外派遣者向けの特別加入ができないので、労災保険法が適用されることはありません。
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