年次有給休暇は、入社から6か月間継続勤務し、その期間の全労働日の8割以上出勤していれば、年次有給休暇の権利が当然に発生します。
今は働き方改革で特に注目されていますし、何度も社労士試験で出題されていますので、要件をきっちりと押さえておく必要があります。
それでは、まず令和元年の問題から見ていきましょう。
年次有給休暇は、半日単位で取ってもいいですよね?
(令和元年問6E)
労働基準法第39条に定める年次有給休暇は、1労働日(暦日)単位で付与するのが原則であるが、半日単位による付与については、年次有給休暇の取得促進の観点から、労働者がその取得を希望して時季を指定し、これに使用者が同意した場合であって、本来の取得方法による休暇取得の阻害とならない範囲で適切に運用されている場合には認められる。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
これは、“基発第0529001号 平成21年5月29日“の通達から、ほぼそのまんまの文章ですね。
半日単位での付与の場合は、労使協定は必要ありません。
では、半日単位での取得が認められている、ということは、、、
もちろん時間単位で取ることもできますよね?
(平成22年問6C)
年次有給休暇の時間単位での取得は、労働者の多様な事情・希望に沿いながら年次有給休暇の消化率を高める効果を持ち得るものであるため、労働基準法第39条第4項所定の事項を記載した就業規則の定めを置くことを要件に、年10日の範囲内で認められている。
解説
解答:誤
「年10日の範囲内」ではなく、時間単位での取得は、「年5日の範囲内」です。
また、問題文にもあるように、就業規則への記載も必要ですが、年次有給休暇の時間単位での取得をする場合は、労使協定が必要です。
ちなみに、先述した半日単位の取得も合わせて通達が出ていますのでご紹介しますね。
労働基準法の一部を改正する法律の施行について 平成21年5月29日基発0529001号
p11くらいから記載されていますのでご参考になさってください。
さて、有給休暇を取ったはいいのですが、その日の賃金についての規定はどうなっているのかを確認しておきましょう。
有給休暇取りますけど、いくらもらえるんですか?
(平成25年問2イ)
労働基準法第39条の規定による年次有給休暇の期間又は時間については、平均賃金、所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金又は健康保険法第40条第1項に規定する標準報酬月額の30分の1に相当する金額(10円未満四捨五入)のいずれかを、年次有給休暇を取得した労働者の指定するところに従い支払わなければならない。(法改正のため、問題文を一部変更しています)
解説
解答:誤
「労働者の指定するところ」ではなく、「就業規則その他これに準ずるもので定めるところにより」となります。
どの方法を採用するかは、会社で統一しておかないと、給与計算する人が大変ですからもっともはお話ですね。
今回のポイント
- 年次有給休暇の半日単位による付与については、労働者がその取得を希望して時季を指定し、これに使用者が同意した場合であって、本来の取得方法による休暇取得の阻害とならない範囲で適切に運用されている場合には認められます。
- 年次有給休暇の時間単位での取得は、就業規則の定めを置くことを要件に、年5日の範囲内で認められていて、労使協定も必要です。
- 年次有給休暇の期間又は時間については、平均賃金、通常の賃金又は健康保険法第40条第1項に規定する標準報酬月額の30分の1に相当する金額(10円未満四捨五入)のいずれかを、就業規則その他これに準ずるもので定めるところにより支払わなければなりません。
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