過去問

【ふわっと全科目を眺める】「社労士試験 労基法 割増賃金」労基-108

このブログでは、毎日科目を変えてお送りしています。

なぜかというと、早いうちに全科目に触れておくことで、社労士試験の全容がイメージしやすくなり、勉強のペースが掴みやすくなるからです。

なので、あまり構えずに「ふ〜ん、そうなんだ」くらいの気軽な気持ちで読んでみてくださいね。

今日は、労働基準法の「割増賃金」について見てみたいと思います。

問題文が長いものもあるので、何が問われているのかを読みながら整理してみましょう。

 

時間外労働が違法状態でも割増賃金の支払は必要?

(令和2年問6D)

労働基準法第37条は、「使用者が、第33条又は前条第1項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合」における割増賃金の支払について定めているが、

労働基準法第33条又は第36条所定の条件を充足していない違法な時間外労働ないしは休日労働に対しても、

使用者は同法第37条第1項により割増賃金の支払義務があり、その義務を履行しないときは同法第119条第1号の罰則の適用を免れないとするのが、最高裁判所の判例である。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

使用者は、36協定をきちんと締結するなど、適法に時間外労働や休日労働をさせた場合に割増賃金を支払うことになっています。

なのに、時間外労働などが違法に行われていたら割増賃金を支払う必要がないというのはおかしいですよね。

なので、適法か違法かは関係なく、時間外労働や休日労働をさせた場合には、それに見合った割増賃金の支払が必要になるということです。

では次に、1か月単位の変形労働時間制での割増賃金の考え方について見ておきましょう。

 

1か月単位の変形労働時間制における割増賃金の考え方とは

(令和元年問2C)

1か月単位の変形労働時間制により所定労働時間が、1日6時間とされていた日の労働時間を当日の業務の都合により8時間まで延長したが、

その同一週内の1日10時間とされていた日の労働を8時間に短縮した。

この場合、1日6時間とされていた日に延長した2時間の労働は時間外労働にはならない。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

1か月単位の変形労働時間制での時間外労働は、

  • 1日については、就業規則その他これに準ずるものにより8時間を超える時間を定めた日はその時間それ以外の日は8時間を超えて労働した時間
  • 1週間については、就業規則などで40時間を超える時間を定めた週はその時間それ以外の週は40時間を超えて労働した時間(上記で時間外労働となる時間を除く)
  • 変形期間については、変形期間における法定労働時間の総枠を超えて労働した時間(上記2つで時間外労働となる時間を除く)

となっています。

問題文を見てみると、6時間労働だった日を8時間にしただけで、8時間を超えて働いていないので、時間外労働とはなりません。

ちなみに、1週間の法定労働時間である「40時間」については、特例措置対象事業場であれば「44時間」となります。

それでは最後に、固定残業代について見ておきましょう。

最高裁判例からの出題ですが、定額残業代を採用するにあたっての条件がテーマになっているので読んでみてくださいね。

 

定額残業代の採用条件とは?

(令和元年問6D)

「いわゆる定額残業代の支払を法定の時間外手当の全部又は一部の支払とみなすことができるのは、

定額残業代を上回る金額の時間外手当が法律上発生した場合にその事実を労働者が認識して直ちに支払を請求することができる仕組み(発生していない場合にはそのことを労働者が認識することができる仕組み)が備わっており、

これらの仕組みが雇用主により誠実に実行されているほか、基本給と定額残業代の金額のバランスが適切であり、その他法定の時間外手当の不払や長時間労働による健康状態の悪化など労働者の福祉を損なう出来事の温床となる要因がない場合に限られる。」

とするのが、最高裁判所の判例である。

 

解説

解答:誤り

定額残業代とは、あらかじめ所定の時間を残業したとみなして定額の手当を支払う制度のことですが、この裁判では、定額残業代が業務手当として支払われていましたが、業務手当は残業代ではないとして争われたのです。

最高裁の判断としては、もともと割増賃金の規定がなされているのは、労働者に残業をさせたことに対するペナルティ的なもので労働者への補償という趣旨になっているだけで、

定額残業代の制度について、問題文のような条件が必要とされているわけではない、としました。

ただ、定額残業代の制度が認められるためには、

  • 定額残業代が、通常の賃金ではなく、時間外労働の手当であると区別でき、
  • 割増賃金の計算をしたときに法定の額を下回っていないこと

が必要だということになったのです。

 

今回のポイント

  • 時間外労働や休日労働をさせた場合、適法か違法かは関係なく割増賃金の支払が必要になります。
  • 1か月単位の変形労働時間制での時間外労働は、
    • 1日については、就業規則その他これに準ずるものにより8時間を超える時間を定めた日はその時間それ以外の日は8時間を超えて労働した時間
    • 1週間については、就業規則などで40時間を超える時間を定めた週はその時間それ以外の週は40時間を超えて労働した時間(上記で時間外労働となる時間を除く)
    • 変形期間については、変形期間における法定労働時間の総枠を超えて労働した時間(上記2つで時間外労働となる時間を除く)

    となっています。

  • 定額残業代の制度が認められるためには、
    • 定額残業代が、通常の賃金ではなく、時間外労働の手当であると区別でき、
    • 割増賃金の計算をしたときに法定の額を下回っていないこと

    が必要だという最高裁判例があります。

 

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