不服申立てについては、他の法律でも出てきますので、横断学習が有効です。
たとえば、徴収法では、厚生労働大臣に審査請求しますが、雇用保険では、雇用保険審査官に審査請求します。
徴収法についての記事はこちら ↓
では、雇用保険での審査請求はどんな時にできるのか確認していきましょう。
審査請求ができるのはこんなとき
(平成30年問7オ)
雇用安定事業について不服がある事業主は、雇用保険審査官に対して審査請求をすることができる。
解説
解答:誤
雇用安定事業については、審査請求をすることができません。
雇用保険審査官に審査請求ができるのは、
- 被保険者となったこと、もしくは被保険者でなくなったことの確認
- 失業等給付に関する処分
- 不正受給にかかる失業等給付の返還命令もしくは納付命令についての処分
についてできます。
キーワードは、「被保険者」、「失業等給付」、「不正受給(失業等給付)」ですね。
次の問題は、少し表現がひねってありますが、落ち着いて確認しましょう。
「労働の意思又は能力」と来れば?
(令和元年問3E)
公共職業安定所長によって労働の意思又は能力がないものとして受給資格が否認されたことについて不服がある者は、当該処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月を経過するまでに、雇用保険審査官に対して審査請求をすることができる。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
これまでの過去問と言い回しが変わっているので面食らうかもしれません。
でも、落ち着いて問題文を読みましょう。
「労働の意思又は能力がない」という理由で「公共職業安定所長」に「受給資格」が否認された、ということは、この人は失業等給付(たとえば基本手当)を受けたいがためにハローワークに行った、ということですよね。
ということは、失業等給付に関する処分に不服がある、ということになり、雇用保険審査官に審査請求をすることができる、という流れになります。
もう一つのポイントは「3か月を経過するまで」です。
ここの数字をきちんと押さえておきましょう。
で、審査請求の決定に不服がある場合は、労働保険審査会に対して再審査請求をするか、裁判に持ち込むことができます。
ちなみに、再審査請求は、審査請求の決定書の藤本が送付された日の翌日から2月以内にする必要があります。
次は、審査請求の時効についての問題です。
審査請求と裁判の関係は?
(平成30年問7エ)
失業等給付に関する審査請求は、時効の完成猶予及び更新に関しては、裁判上の請求とみなされない。(法改正により問題文を補正しています。)
解説
解答:誤
失業等給付に関する審査請求は、時効の完成猶予及び更新に関しては、裁判上の請求とみなされます。
「時効の完成猶予及び更新」は、以前は「時効の中断」と表現しておりましたが、民法が改正されたので、こちらの条文も表現が変わりました。
中身は一緒です。
ここで大切なのは、社労士試験で法改正情報は、資格学校などからお金を払ってでも仕入れておく必要があるということです。
ちなみに、開業登録してますが、私はTACさんの法改正講座を申し込みました。
やっぱり新鮮で体系づけられた情報が欲しいですからね。
ただ、このコロナ騒ぎ(2020年4月執筆当時)で教室での講義があるのかどうかわかりませんが苦笑。
もし教室講義が中止になった場合は、WEB講義などに切り替えることができるか問い合わせてみるつもりです。
話がそれましたが、法改正部分は、社労士試験でも積極的に出題されますので、情報は仕入れておくようにしましょうね。
今回のポイント
◆雇用保険審査官に審査請求ができるのは、
- 被保険者となったこと、もしくは被保険者でなくなったことの確認
- 失業等給付に関する処分
- 不正受給にかかる失業等給付の返還命令もしくは納付命令についての処分
です。
◆審査請求の決定に不服がある場合は、労働保険審査会に対して再審査請求をするか、裁判に持ち込むことができます。
◆失業等給付に関する審査請求は、時効の完成猶予及び更新に関しては、裁判上の請求とみなされます。
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